なぜ職務経歴書が重要なのか
履歴書があなたの「基本情報」や「学歴」「資格」などを伝える書類であるのに対し、職務経歴書はあなたの「仕事内容」「実績」「スキル」そして「仕事への姿勢」までを伝える書類です。
特にエンジニア職では、採用担当者は職務経歴書を通して、あなたがどのような技術を使い、どんな課題に向き合い、どんな工夫をしてきたのかを知ろうとします。単なる「経験年数」ではなく、どんな考え方でコードを書いてきたか、チームやユーザーとどう関わってきたかなど、あなたの人柄や成長意欲も見られています。
未経験や若手の場合、「実績がないから書けない」と感じるかもしれません。でも、職務経歴書は「過去の成果」だけでなく、これまでの学びや、これから挑戦したいことを伝える場でもあります。たとえば、個人開発で作ったアプリ、勉強会で発表した内容、GitHubでの活動なども立派なアピール材料になります。
また、職務経歴書は面接官との「最初の会話のきっかけ」になることが多く、あなたの言葉で書かれた内容が、面接の流れを左右することもあります。だからこそ、テンプレートに頼りすぎず、自分の言葉で丁寧に書くことが大切です。
職務経歴書は、あなたの可能性を伝えるプレゼン資料のようなもの。経験が浅くても、誠実に書かれた内容は必ず伝わります。焦らず、ひとつずつ言葉にしていきましょう🌿
職務経歴書の基本構成
職務経歴書は、あなたのこれまでの経験やスキルを採用担当者に伝えるための大切な書類です。特にエンジニア職では、技術的な取り組みや課題への向き合い方が重視されるため、構成をしっかり整えることで、あなたの魅力がより伝わりやすくなります。
以下のような構成で書くのが一般的です。この流れに沿って整理することで、読み手が「どんな人なのか」「どんなことができるのか」をスムーズに理解できるようになります。未経験や若手の方でも、ポイントを押さえれば十分にアピールできます。
-
職務要約
あなたの職務経験を簡潔にまとめるセクションです。未経験の場合は、これまでの学習内容や取り組み、興味のある分野などを記載しましょう。たとえば「現在Laravelを中心にWebアプリ開発を学習中。個人開発で簡単な投稿機能を実装した経験あり」など、具体的に書くことで印象が良くなります。
-
活かせる経験・知識・スキル
実務経験が少ない場合でも、学習してきた技術や、前職で培ったスキルをここで活かしましょう。たとえば「前職での顧客対応経験を通じて、課題のヒアリング力を身につけた」「HTML/CSSの基礎を習得し、レスポンシブ対応のフォームを作成できる」など、具体的なスキルとその背景をセットで書くと効果的です。
-
職務経歴詳細
実務経験がある場合は、プロジェクト単位で担当した内容や使用技術、成果などを記載します。未経験の場合は、学習プロジェクトや個人開発の内容を記載しても構いません。「ポートフォリオとして簡易ブログを作成し、画像アップロード機能やバリデーションを実装」など、取り組んだ内容を丁寧に書きましょう。
-
自己PR・自己研鑽
あなたの人柄や成長意欲を伝えるセクションです。未経験者にとっては特に重要で、「毎日1時間以上学習を継続している」「技術書を読みながらGitHubにコードを公開している」など、努力の姿勢を見せることで好印象につながります。また、チーム開発への興味や、今後挑戦したい分野についても触れておくと、将来性を感じてもらえます。
📝 ポイント: 未経験の場合は、「活かせる経験・知識・スキル」や「自己PR・自己研鑽」の項目を特に充実させることが重要です。経験の有無よりも、どれだけ前向きに取り組んでいるかが伝わることが、採用への第一歩になります。
職務経歴書作成のステップバイステップ
実際に各セクションの書き方を見ていきましょう。
ステップ1:職務要約を書く
職務要約は、あなたの経歴全体を3〜4行で簡潔にまとめるパートです。採用担当者はまずここを読み、全体像を把握します。
NG例
前職では〇〇の営業を担当していました。現在は独学でWeb開発を学習しています。
OK例
〇〇株式会社で3年間、法人営業として顧客の課題解決に従事。論理的な思考力と課題解決能力を培いました。現在は独学でWeb開発(Laravel, Vue.js)を学習しており、特にMVCの概念やデータベース操作に深い関心を持っています。これまでの経験を活かし、チーム開発に貢献したいと考えています。
NG例に比べて、OK例は前職での経験からエンジニア職で活かせるスキル(論理的思考力、課題解決能力)に繋げています。また、具体的な学習言語や関心分野を示すことで、採用担当者へのアピール度が高まります。
ステップ2:活かせる経験・知識・スキルを整理する
ここは、あなたの武器を一覧で示すパートです。未経験の場合でも、以下の3つの要素に分けてアピールポイントを整理しましょう。
✅ ビジネススキル
前職で培ったスキルは、エンジニアとしても必ず役立ちます。
- 課題解決能力
- コミュニケーション能力
- プロジェクト管理
- 企画力/提案力
✅ テクニカルスキル
学習した技術スタックを具体的に記述します。
- 言語: PHP, JavaScript, HTML, CSS
- フレームワーク: Laravel, Vue.js
- データベース: MySQL
- その他: Git, Docker
✅ 自己研鑽
学習への意欲をアピールします。
- 技術ブログの執筆
- 技術書・オンライン学習サービス
- OSSへの貢献
- 個人開発したWebアプリ
📝 ポイント: テクニカルスキルは、できることだけでなく「学習中」や「簡単なWebサイトが作れる」といったレベル感も併記すると、より親切です。
ステップ3:職務経歴詳細と実績を記述する
ここが最も重要なパートです。たとえエンジニアとしての実務経験がなくても、「これまでの仕事」や「個人開発」をアピール材料にできます。
【職務経歴の書き方】
未経験者は「前職の経験」を掘り下げて書きます。プロジェクト名や業務内容を具体的に記述し、その中で培った「論理的思考力」「課題解決力」といったスキルが、エンジニアとしてどう活かせるかを具体的に説明します。
【実績の書き方】
個人で開発したWebアプリや、学習過程で作成した成果物を具体的に記述します。
記述例
個人開発アプリ「My Blog App」
– 概要: LaravelとMySQLでCRUD機能を実装したブログアプリケーション
– 使用技術: Laravel, MySQL, HTML, CSS, Git, Docker
– 工夫した点:
・RESTfulなルーティング設計を意識し、URIの整合性を高めた
・ユーザー認証機能を実装し、ログインしたユーザーのみが記事を投稿・編集できる仕組みにした
– URL: (公開していればURLを記載)
重要:単に「ブログアプリを作りました」で終わらせず、「なぜそれを作ったのか」「どんな技術を使って、どんな工夫をしたのか」まで書くことで、あなたの学習意欲と技術への向き合い方が伝わります。
ステップ4:自己PR・自己研鑽をアピールする
職務経歴書の最後は、あなたの熱意と将来性をアピールする場です。特に未経験者はこの項目を充実させましょう。
A. 学習への熱意を示す
「〇〇の技術書を読み、現在〇〇の技術を学習中です」など、具体的に何に取り組んでいるか書きます。
B. エンジニアになりたい理由を明確にする
なぜエンジニアになりたいのか、なぜこの会社を選んだのかを具体的に書きます。「前職で得た〇〇という経験を、エンジニアとして〇〇という形で貢献したい」といったように、これまでの経験と紐づけると説得力が増します。
C. 将来の展望を語る
入社後にどんなエンジニアになりたいか、どんな貢献ができるかを語ることで、採用担当者はあなたの入社後の姿を具体的にイメージできます。
差がつく!職務経歴書のチェックリスト
職務経歴書は、ただ経験を並べるだけではなく、読み手に「この人と話してみたい」と思わせる工夫が必要です。特に未経験や若手エンジニアの場合、ちょっとした意識の違いが大きな差につながります。以下のポイントを意識するだけで、あなたの職務経歴書はグッと魅力的になります。
-
✅ 読みやすさ:
長文になりすぎないように、適切な見出し(HTMLで言うところの
h2
,h3
)や箇条書きを使って構成しましょう。採用担当者は限られた時間で多くの書類を読むため、パッと見て内容が整理されているかどうかが重要です。改行や余白も意識すると、より読みやすくなります。 - ✅ 具体的な数値: 「〇〇%改善」「〇〇件対応」「〇〇人規模のプロジェクトに参加」など、数値を入れることで説得力が増します。未経験でも、学習時間や制作物の数などを数値化することで、努力の量を伝えることができます。
- ✅ 目的意識: 「なぜその技術を学んだのか」「なぜそのアプリを作ったのか」といった背景を明確にしましょう。単に「Reactを学習中」と書くよりも、「ユーザーインターフェースの改善に興味があり、Reactを選んだ」と書くことで、あなたの思考や目的が伝わります。
- ✅ 企業への適応: 応募する企業の業務内容や使用技術に合わせて、職務経歴書の内容を調整しましょう。たとえば、SaaS企業なら「継続的な改善」や「ユーザー視点の開発」に関する経験を強調するなど、相手に合わせたアピールが効果的です。
- ✅ 専門用語の補足: 前職がエンジニア職でない場合や、異業種からの転職の場合は、業界特有の専門用語を避けるか、簡潔に説明を添えましょう。読み手が技術者でない可能性もあるため、誰が読んでも理解できるように配慮することが大切です。
⚡ 差がつくポイント
GitHubやポートフォリオサイトのURLを必ず記載する
採用担当者は、あなたのコードや成果物を直接見たいと考えています。履歴書や職務経歴書だけでは伝わらない部分を、GitHubのコミット履歴やポートフォリオサイトで補うことで、あなたの技術力や学習意欲が格段に伝わります。
たとえば「個人開発で作成したタスク管理アプリをHerokuにデプロイ」「GitHubで毎日コミットして学習記録を残している」など、URLと一緒に簡単な説明を添えると、より印象に残ります。
職務経歴書に関するよくある質問(FAQ)
実務経験がなくても、学習してきた内容や個人開発の取り組みを具体的に書くことで十分にアピールできます。たとえば「Laravelで簡単な投稿機能を実装した」「GitHubでコード管理をしている」など、学びの過程や工夫した点を伝えましょう。
一般的にはA4で1〜2枚程度が目安です。未経験の場合は1枚でも問題ありませんが、読みやすく整理された構成と、あなたの熱意が伝わる内容が大切です。長さよりも「伝わるかどうか」を意識しましょう。
基本的には履歴書に記載する項目ですが、職務経歴書でも技術系資格(例:基本情報技術者、AWS認定など)はアピールポイントとして記載して構いません。特に未経験の場合は、学習意欲の証として効果的です。
ポートフォリオがあると有利ですが、なくても問題ありません。その代わり、学習中の内容やGitHubの活動履歴、今後作りたいアプリの構想などを記載することで、前向きな姿勢を伝えることができます。ポートフォリオは「あると強い武器」くらいの認識でOKです。
はい、できるだけ応募企業に合わせて調整するのが理想です。企業が求める人物像や使用技術に合わせて、強調するスキルや経験を変えることで、よりマッチした印象を与えることができます。テンプレートをベースに、少しずつカスタマイズするのがおすすめです。
いいえ。エンジニアの職務経歴書はWordやPDFなどのデータで提出するのが一般的です。これは、あなたがPCスキルを持っていることの証明にもなります。
まとめ
職務経歴書は、あなたのこれまでの経験と、エンジニアとしての未来を結びつける大切な書類です。履歴書が「誰なのか」を伝えるものだとすれば、職務経歴書は「何ができるのか」「どんな価値を提供できるのか」を伝えるもの。たとえ実務経験がなくても、これまでの学習や個人開発、前職での取り組みを丁寧に言語化することで、採用担当者に「この人なら成長してくれそうだ」「一緒に働いてみたい」と思わせることができます。
特に未経験や若手の場合、完璧な経歴よりも「どんな姿勢で学んでいるか」「どんな工夫をしているか」が重視されます。あなたの努力や熱意は、言葉にすることで初めて相手に届きます。職務経歴書はそのための“橋”のような存在です。
この記事では、職務経歴書の基本構成から、差がつくチェックポイント、よくある疑問への回答まで、初心者でも迷わず書けるようにステップごとに紹介してきました。最初は難しく感じるかもしれませんが、ひとつずつ書き進めていくことで、必ず自分らしい職務経歴書が完成します。
ぜひ、この記事で紹介したポイントを参考に、あなたの想いが伝わる職務経歴書を作成してみてください。小さな経験も、丁寧に言葉にすれば大きな魅力になります。あなたのエンジニアとしての第一歩が、素敵な出会いにつながることを心から願っています🌿