SNSの「自由なフリーランス像」に憧れて
「フリーランスエンジニアになって、月収100万円達成!」
「好きな場所、好きな時間に働いています」
「もう会社には戻れない自由な生活」
最近、X(旧Twitter)やYouTubeでこういった投稿をよく見かけます。私もエンジニアとして会社に勤めている身として、そんな言葉を見るたびに心が揺れます。
毎朝同じ時間に出社して、会議に出て、上司の指示に従いながら働く日々。もちろん、仕事にやりがいを感じる瞬間もありますが、正直言って「もっと自由に働けたらな」と思うことは少なくありません。
そんなときに目に入ってくるのが、フリーランスエンジニアの自由で楽しそうな姿。
「自分もフリーランスになったら、もっと自由に、自分らしく生きられるんじゃないか?」
「収入も増えて、時間にも余裕ができるかも…?」
そんなふうに考え、真剣に「フリーランスエンジニアを目指そうか」と思ったこともありました。
でも、いろいろと調べたり、実際にフリーランスの方の話を聞いたりしていく中で、私は気づきました。
「今の自分がフリーランスエンジニアになるのは、まだ早い」
「むしろ、無謀かもしれない」
この記事では、私がフリーランスエンジニアという働き方に惹かれつつも、なぜ「今は目指すべきではない」と判断したのか、その理由を共有したいと思います。
フリーランスエンジニアの現実は、想像以上に厳しい
「フリーランス=自由で楽」というイメージを持っていた私は、いろんなブログ記事や動画で現実を知って驚きました。
確かに、フリーランスエンジニアは働く場所も時間も選べますし、会社のしがらみに縛られないというメリットはあります。でも同時に、すべてが自己責任という厳しい側面もあるのです。
たとえば、案件探し。会社員であれば、仕事は基本的に会社が用意してくれます。でもフリーランスになると、自分で案件を見つけ、営業し、契約交渉もしなければなりません。
また、収入の不安定さ。会社員であれば、体調を崩して数日休んでも給料は変わりません。でもフリーランスは、働いたぶんだけが収入です。病気になったら、そのぶんゼロ。休めば収入が止まる。それは想像以上に大きなリスクです。
加えて、税金や保険、年金などの手続きも、すべて自分でやらなければなりません。確定申告も、自分で帳簿をつけて処理する必要があります。こうした雑務に時間を取られ、本業の開発に集中できないという声も聞きました。
フリーランスエンジニアは、決して「技術が好きだから」だけではやっていけない。
エンジニアである前に、「一人の経営者」としての意識と覚悟が求められるということが、私の中で少しずつリアルに感じられるようになってきました。
スキルや実績がないと「即戦力」になれない
私は現在、いわゆるフルスタックなエンドエンジニアとして数十年の経験がありますが、仕事柄フリーランスのエンジニアとよく会うことがあります。
いろいろ会っていく中で分かったのは、フリーランスエンジニアに求められるのは本人が思ってる以上の「即戦力」だということです。
たとえば、案件の募集要項では「Laravel5年以上」とか「PythonでAIではなくWEBアプリケーションをゼロイチでつくったことがある」とかのなかなか難易度が高いものが並んでいます。
お願いする立場からすると、若手正社員ではないので「入ってから学びます」は通用しません。「未経験ですが挑戦させてください」も、通じません。
会社員であれば、教育やフォローがあるかもしれませんが、フリーランスは違います。「できる人」にだけ仕事が来る。そして、選ばれなければ収入も発生しない。
自分が駆け出しのエンジニアだとして、「即戦力」がついてない状態でフリーランスになろうとするのは非常に大変なことだろうなと想像します。
フリーランスの人たちの話が教えてくれたこと
ある方は、「独立前に会社員として5年間、しっかり開発と設計の経験を積んだ」と言っていました。技術ブログや登壇活動も行い、エンジニアコミュニティの中で信頼を得てから独立したそうです。
また別の方は、「独立して最初の1年は大変だった。案件が取れず、貯金を切り崩しながら過ごした」と話してくれました。その後も、技術だけでなく営業力や交渉力を鍛えながら、ようやく軌道に乗せたのだとか。
どちらの方も、口を揃えて言っていたのは、
「フリーランスエンジニアは、しっかり準備してから目指すべき」
ということでした。
私が今、駆け出しエンジニアだったらフリーランスエンジニアを目指さない
こうしていろいろと調べ、話を聞く中で、駆け出しエンジニアはいきなりフリーランスにならないほうが良いと判断できるでしょう。
- まだ専門性が足りない
- 実績として語れるプロジェクトが少ない
- 安定した収入が途切れたときの生活の不安が大きい
- 営業や契約などの知識がまったくない
それならまずは、今の会社員としての時間を活かして、しっかりスキルと実績を積むことが最優先だと考えたのです。
焦る必要はない。むしろ、焦ってフリーランスになるほうがリスクです。
まとめ:フリーランスエンジニアを目指すなら、まず「ガチなエンジニア力」をつけよう
フリーランスエンジニアという働き方は、確かに魅力的です。時間や場所に縛られず、自分らしく働けるスタイル。会社員では得られない自由や収入も手に入るかもしれません。
でも、その裏には大きな責任とリスクがある。
そして、誰にでもできる仕事ではないということも、私は調べていく中で強く感じました。
今の私は、まだその段階に達していないと思っています。だからこそ、焦らず、今の環境の中で最大限の経験とスキルを積むことを優先しようと決めました。
いつか、本当に「自分ならやっていける」と思えたとき、改めてフリーランスエンジニアという道を考えたいと思います。
今、同じようにフリーランスに憧れている方がいたら、ぜひ一度立ち止まってみてください。
「本当に今、独立するべきか?」と。
準備が整えば、フリーランスになるのはいつだって遅くありません。むしろ、そのときこそが、成功への近道になると私は信じています。